winter song 〜君に捧ぐたった一つの歌〜

「失礼します」



僕は緊張した面持ちで社長室の扉を叩いた…



「拓人、お前が訊ねてくるなんて珍しいな」



父さんは社長室の椅子に座りながら静かに答えた…



「父さんに話があります」



僕は緊張した面持ちで静かに口を開いた



今まで父さんとちゃんと向き合って話をしたこともない…



いつも向き合うことから逃げて、怒られたくなくて、顔色を窺って生きてきた…



逆らって家を出た20代前半…



結局自分では何一つ責任を取れず、結局親に頼るしかなかった…



僕は父さんが嫌いだった…



小さい頃から長男だからと言われ、上からものを押し付けられてきた…



傲慢な態度も、僕を僕として認めてくれない凝り固まった変わらない概念も…



父さんの全てが僕は嫌いだった…