たまに食事に行くようになり、それがいつの間にか、当たり前の時間になっていった。
車の中で流れるどこか懐かしい曲。
助手席の私を見て微笑む彼の横顔。
――気づいた時にはもう、恋に落ちていた。
どんなに忙しくても、「一緒にいると落ち着く」と言ってくれる。
週末に会うたび、優しく抱きしめてくれる。
それだけで、世界の中心にいるような気がしていた。
ただ、ある夜。
ふとした拍子に、彼のスマホの画面が目に入った。
そこに映っていた“妻”という文字に、呼吸が止まった。
どうして気づかなかったんだろう。
指輪をしていなかったから?
都合よく見ないふりをしていたのかもしれない。
その関係がいけないものだとわかった時には、もう始まっていて、戻る道なんて、どこにも見えなかった。
彼のいない世界が想像できなくなっていた。
でも、彼は言った。
「もう、終わってる関係なんだ。離婚の話もしてる」
「いずれ、沙良と一緒になりたいと思ってる」
「俺には沙良しかいないんだ」
その言葉を、私は信じた。
信じたかった。
あれから七年。
三十歳になった今も、私はあの頃と同じように、 彼からの言葉ひとつで一喜一憂している。
車の中で流れるどこか懐かしい曲。
助手席の私を見て微笑む彼の横顔。
――気づいた時にはもう、恋に落ちていた。
どんなに忙しくても、「一緒にいると落ち着く」と言ってくれる。
週末に会うたび、優しく抱きしめてくれる。
それだけで、世界の中心にいるような気がしていた。
ただ、ある夜。
ふとした拍子に、彼のスマホの画面が目に入った。
そこに映っていた“妻”という文字に、呼吸が止まった。
どうして気づかなかったんだろう。
指輪をしていなかったから?
都合よく見ないふりをしていたのかもしれない。
その関係がいけないものだとわかった時には、もう始まっていて、戻る道なんて、どこにも見えなかった。
彼のいない世界が想像できなくなっていた。
でも、彼は言った。
「もう、終わってる関係なんだ。離婚の話もしてる」
「いずれ、沙良と一緒になりたいと思ってる」
「俺には沙良しかいないんだ」
その言葉を、私は信じた。
信じたかった。
あれから七年。
三十歳になった今も、私はあの頃と同じように、 彼からの言葉ひとつで一喜一憂している。


