終わらない物語を君へ

「でも、別に何もないと思う」

「ふーん」

 結衣はそう言いながら、みどりの顔をじっと見る。

「……何?」

「いや」

 少しだけ、声を落として言った。

「みどりさん、顔がね」

「顔?」

「乙女の顔してる」

 その言葉に、胸がきゅっと縮む。

「違うよ!」

「うん。みどりさんはそう言うと思った」

 結衣は笑う。
 でも、その笑顔はどこか真剣だった。

「送ってないんですね? まだ」

「……うん」

「でも、捨ててもないんだ」

 図星だった。

 みどりは視線を逸らす。

 結衣はそれ以上、踏み込まなかった。
 ただ、立ち上がりながら言う。

「いいと思いますよ」

「え?」

「人と一緒にご飯食べる選択肢」

 そう言って、ドアの方を振り返る。

「みどりさんが決めればいいです」

 休憩終了の時間になる。

 結衣の背中を見送りながら、みどりは思う。

 ——どうして、この紙を捨てられないんだろう。