終わらない物語を君へ

「バイトの時間まで、まだ少しありますけど……どうします?」
結衣が時計を見ながらそう言う。

「うーん……」
みどりが答えかけたそのとき、結衣がふと指をさした。
「――あっ、見てください! あそこ、かわいい雑貨屋さん!」

通りの角にある、小さな雑貨屋。
ガラス越しに見える店内は、柔らかな光に包まれ、
色とりどりのアクセサリーや、手作りの小物が並んでいる。

「ちょっとだけ見ていきません?」
結衣の無邪気な笑顔に、みどりは思わずうなずいた。



店の中は、甘いバニラのような香りが漂っていた。
並んだノートやシール、ドライフラワー、小瓶、ブローチ――
どれも、かつての自分なら手に取っていたはずのものばかり。

(昔は、こういうのが好きだったな……)
そう思うと、胸の奥がきゅっと締めつけられる。