終わらない物語を君へ

 できあがったオムライスを、二人でテーブルに運んだ。
 湯気とともに、バターとケチャップの香りがふわっと広がる。

「……けっこう上手にできたね」
 蓮が嬉しそうに笑う。
 その笑顔に、みどりはなぜか目を逸らした。

「当然でしょ。料理歴、何年だと思ってるの」
「えらいなぁ、みどりは」
「子ども扱いしないで」
「そういう意味じゃないけど」

 からかうでもなく、素直に褒めるような声。
 なのに、その優しさがむずがゆくて、みどりはスプーンをくるくると回した。

「……食べよ」
「うん」

 二人で手を合わせる。
 ひと口食べた蓮が、ふっと目を細めた。

「おいしい。これ、すごく好きな味」
「そりゃよかった」
「……でも」
「なに?」
「せっかくだし、みどりに“あーん”してもらいたい」

「は?」
 スプーンを持ったまま、みどりが固まる。
 蓮はまるで悪びれた様子もなく、にこりと笑った。

「だって、せっかく一緒に食べるんだし」
「な、なに言ってるの……!」
「ダメ?」

 あまりにも自然に聞くから、余計に心臓が落ち着かない。
 みどりはスプーンをぎゅっと握りしめた。

「……そ、そんなの、自分で食べなさいよ」
「でも、みどりの作ったご飯だし。みどりの手からもらえたら、きっともっと美味しい」
「っ……!」

 言葉が詰まる。
 その顔があまりにもまっすぐで、ふざけていないから余計に困る。