終わらない物語を君へ


 昼のピークが一段落して、店内にまた穏やかな時間が戻り始めた頃。

 背後から、くいっと小さな力が伝わってきた。

「……なに?」

 見下ろすと、みどりがこちらを見上げていた。
 どこかむっとした顔で。

「さっきさ」

 小さな声で、でもはっきりと言う。

「かわいい女子高生に、デレデレしてたでしょ」

「してないよ!?」

 思わず声が裏返った。

「してたってば」
 みどりは腕を組み、じっと睨んでくる。

「だって、目、キラキラしてたもん。そういうのやめなよ」

 一拍置いて。

「……変態」

「ひどくない!?」

 思わず声が大きくなる。

「誤解だから。ほんとに」

 必死に否定する俺を一瞥して、みどりはふいっと顔を背けた。

「ふーん」

 そっぽを向いたまま、シャツの裾をまだ掴んでいる。

 その仕草が、あまりにも子どもっぽくて。

 ……可愛い。

 胸の奥が、くすぐったくなる。

「嫉妬?」

 冗談めかして言うと、みどりはびくっと肩を揺らした。

「ち、違うし!」

 顔を赤くして、ようやく手を離す。