終わらない物語を君へ

 蓮がふぅと大きく伸びをした。
 背中が軽く鳴って、少し情けない顔をする。

「なんか体が痛いや。これが……疲れるってことなのかなぁ?」

「ふふっ、たぶんそうだね。バイト初日だもん。慣れないことばっかりで、体もびっくりしてるんだよ」

 結衣が笑うと、蓮もつられて口元をゆるめた。

「僕ね、今度ビール飲んでみたい!」
「え?」
「疲れた後に飲むビールは最高だなぁって、どこかで聞いたことあるんだ。今日みたいな日は、ちょっとだけ飲んでみたい気分」

 結衣は思わず笑ってしまった。
「蓮にはまだ早いんじゃない?」

「えー……そうかなぁ」
「そうだよ」

 そう言いながら、結衣は冷蔵庫からサイダーを取り出して、グラスに注いで渡す。
 シュワシュワと弾ける音に、蓮が目を丸くした。

「なにそれ!なんか、気分が上がるね」
「でしょ?」

 ふたりで乾杯のまねごとをする。
 カチンと軽くぶつけたグラスの音が、夜の静けさに小さく響いた。