終わらない物語を君へ

 結衣は小さく肩をすくめ、少し顔を赤くして勇気を振り絞った。

「私、大学では“ぶりっこ”って言われてるんです……。男の子に媚びて、キモいって」

 その言葉に、みどりは少し驚きながらも静かに耳を傾ける。

「別に“可愛い”って言われて何が悪いの?って思ってました……。でも、やっぱりみんなに嫌われるのは、寂しくないわけじゃないんです」

 少し震える声。手は小さく握りしめられていた。

「そんな時、ここでみどりさんに出会ったんです。いつも凛としていて、かっこよくて……私の憧れなんです」

 息を整え、結衣は小さく俯きながらも、はっきりと言葉を続けた。

「私……みどりさんの、ファンなんです……!」

 その告白に、みどりは思わず目を見開く。

 結衣の告白を聞きながら、みどりの胸にじんわりと何かが広がった。
 ――昔の自分と、重なった。

 可愛くなりたくても、周りの目を気にして地味にしていたあの日々。
 自分を出すことが怖くて、押し殺していた感情。

 でも今、結衣は同じように悩みながらも、勇気を振り絞って自分をさらけ出している。
 その姿に、みどりの胸は熱くなると同時に、小さな希望が灯る。
 ――私も、誰かに憧れられるような何かをもっていたんだ。

「……ありがとう、工藤さん。私は、可愛くて、キラキラしてるあなたのこと、素敵だなって思ってた」

 みどりがそう伝えると、結衣の目はより一層輝きを増したように見えた。

「それに、真っ直ぐに気持ちを伝えてくれて、かっこいいのは、あなたの方だよ」

 思わず微笑み、優しく言葉を返す。
 結衣は目を丸くして、少し赤くなった頬を手で隠す。

 蓮はそんな二人の様子を見て、少し驚きながらも、にこりと笑った。