終わらない物語を君へ


「ねぇ、みどり」
 ふいに蓮が立ち止まり、首をかしげる。

「さっきのお金って、働いたらもらえるんだよね?」

「うん。そうだよ。お仕事をすると、お給料がもらえるの」
 みどりが笑って答えると、蓮の瞳がぱっと輝いた。

「みどりは、働いてるの?」
「うん、大学の近くのカフェでアルバイトしてるよ」
「アルバイト……!」

 初めて聞く言葉に、蓮は小さく呟く。
 その声には、子どものような好奇心が混じっていた。

「僕も……やってみたい」

 その一言に、みどりは目を瞬かせる。
 けれど、真っ直ぐな瞳を見ていると、
 “本気”なのだとすぐにわかった。

 ――蓮がこの世界で生きようとしている。

 そのことが、どうしようもなく嬉しく感じられた。