終わらない物語を君へ

「……そんな素敵なの、私には似合わないよ」
 小さく笑って言うと、蓮はすぐに首を横に振った。

「絶対似合う。僕はそう思う」

 まっすぐな瞳に、みどりは息を詰める。

「……そういうのがタイプなの?」
 照れ隠しに言うと、蓮は少し考えるように視線を落とした。

「うーん、そういう“設定”とかじゃなくて……でも、これがみどりに一番似合うと思ったんだ」

 その言葉が、静かに胸に落ちた。
 あたたかくて、でもどこか痛い。

(……少しくらい、変わってみてもいいのかもしれない)

 そう思ったけれど、みどりは小さく息を吸って、そっと首を振った。

「でも、やっぱりやめておくよ」

「どうして?」

「まだ……私には、そこまで変わる勇気はないから」

 そう言って、ワンピースを元の場所に戻す。
 ほんの少しだけ、指先が名残惜しくて――それでもみどりは歩き出した。

 その背中を、蓮は静かに見つめていた。