終わらない物語を君へ

 その瞬間、蓮は迷わずみどりの手を強く引き、ベッドの上に引き寄せた。

「わっ……ちょ、ちょっと!」
 思わず声を上げるみどりをよそに、蓮は優しくも力強く抱きしめる。

 ベッドの柔らかさに体を預け、みどりの背中に手が回る。
「……大丈夫。怖がらなくていいよ」
 低く落ち着いた声に、みどりの胸はドキドキと跳ね、
体中の血が熱くなる。

 息を整えようとしても、蓮の体温と腕の感触がすぐ隣にあるだけで心臓が爆発しそうだ。

「……このまま眠るの……?」
 小さな声で呟くみどりに、蓮はにっこりと微笑む。

「うん。眠くなるまで、このままでいて」

 その言葉と同時に、蓮はそっとみどりの体を自分の胸に引き寄せ、頭を肩に預ける。
 柔らかい髪が頬に触れ、胸の鼓動が耳に伝わる。

「っ……!きょ、今日だけ、だからね」

 みどりは一瞬、抵抗しようとしたけれど、安心感と幸福感に包まれ、そう言うと力を抜いてしまった。

 蓮の温もりに身を委ねながら、自然とまぶたが重くなる。

 抱きしめられたまま、みどりは初めて「誰かにそばにいてもらう」という温かさを全身で感じた。

 そして、心の奥でふと思う。

(まだ一日目なのに……こんなにもドキドキして、先が思いやられる……)

 みどりは胸の高鳴りを抑えながらも、少しの不安と大きな期待を抱き、静かに目を閉じた。

 今日という特別な一日が、まだ終わらないことを願いながら。