終わらない物語を君へ

 前を向いて歩く蓮の背中は、少しだけ大きく見える。

 この世界に、どんどん馴染んでいく人。

 それを見て、嬉しい気持ちは確かにあるのに。

 ——どうしてだろう。

 胸の奥に、ほんの少しだけ、寂しさが残った。

 そのとき。

 ——ピロン。

 今度は、別の通知。

 どこかで見たアイコン。

【湊:明日、13時 図書室】

 みどりは、一瞬だけ画面を見つめたまま固まった。

 すぐ隣では、蓮がスマホを大事そうに握っている。

 静かなフードコートで、
 みどりの世界は、また少しだけ揺れた。

「……どうかした?」

 蓮が、不思議そうにこちらを見る。

 みどりははっとして、首を振った。

「ううん。何でもない」

 そう答えながら、画面を伏せてポケットにケータイをしまう。

 本当に、何でもない。
 そう言い聞かせるように。