終わらない物語を君へ

結衣は少し考えてから言った。

「それじゃあ、蓮さん」

「うん?」

「ケータイ買ったら、私にも連絡先教えてくださいね」

 何でもないお願いのはずだった。

 でも、蓮は一瞬考えるような顔をしてから、首を横に振る。

「え、それはできないよ〜」

「え?」

 結衣とみどりの声が、きれいに重なった。

 蓮は少し困ったように、でも真面目な顔で続ける。

「だって」

 一拍置いて。

「僕のケータイは、みどりと連絡を取るためのものだから」

 一瞬、空気が止まる。

「……は?」

 みどりの思考が追いつかない。

 結衣は目を丸くしてから、次の瞬間、吹き出した。

「ちょ、ちょっと待ってください。そんな理由、初めて聞きました」

「いや、いいよ!」

 みどりは慌てて否定する。

「別に、私だけじゃなくていいから!」

「でも」

 蓮はきょとんとして言う。

「僕が連絡取りたいのは、みどりだし」

「そういう問題じゃなくて!」

 結衣は肩を揺らしながら笑っている。

「みどりさん、大事にされすぎじゃないですか」

「されてない!」

 即答だった。

 でも、耳が少し熱い。