私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

その勢いのままゴールを決める。


見間違い、じゃないよね?


『C組が1位でゴール!!!熱い試合でしたね!』


放送の声にいつの間にか張り詰めていた緊張感がほぐれる。


ご主人様の所に行かないと・・・。


ほっとしたのだってご主人様の所に行けるからだ、きっと。





「ましろちゃんありがとう〜っ!」


「綾波!凄かったなピューンって皆を抜かして行ったぞ!!!」


「二人も凄かったわよ。諦めないでいてくれたから勝てたのよ」


僕よりも先に春野と瑠璃川がご主人様にくっ付いてる・・・。


そりゃ頑張ったと思うけど元々そこは僕の場所だったのに。


ムッとしていれば僕に気付いたご主人様が手招きをする。


正直、行きたくないけど体は動いちゃうんだから仕方ない。


「皐月も偉いね」


「・・・そうでしょ」


「橘もありがとうな!」


「せっかく1位でバトンくれたのにごめんね・・・」


「いいよ、気にしてない」


やめてよね正面から堂々と恥ずかしげも無く言うの。


熱を帯びた頬を隠すようにぐりぐりとご主人様の体に額を押し付ける。


二人は僕の行動にはてなを浮かべるけどきっとご主人様には筒抜け。


案の定、たまにはいいでしょこういうの。なんて言われちゃう。


僕は黙って抱き締める腕に力を込める。