私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

side,皐月


汗はかくし、髪も砂埃でごわごわになる。


正直体育祭は気乗りしなかった。


勝ち負けだってどうでもいい。


ご主人様が参加するから。ほんと、これだけ。





春野、とかいう女が転けた時だってさほど気にも止めてなかった。


変に気負い込んでたしな、空回りしたんだろうな、ぐらいにしか思えなかった。


だから、意外だった。


全力で走るご主人様の姿は。


ここに来るまでに東のトップ達については調べた。ご主人様に関する事以外には興味無いし、必要最低限の情報とここ最近の様子だけだけど。


ご主人様が人並以上には心を許せてるのかなって印象。これもただの気まぐれなんだろうけど。


僕と兄さん、水嶋。そういやこいつにも弟いるんだっけ。それとまだ会ったことないけどご主人様がいつの間にか拾ってた男とその妹?


こんな風に拾いモノをする癖がある。


それにここに通う理由がご主人様にはあるから。


色々重なってここに居るだけ、そう思ってたのに。





想像よりもずっと、ご主人様はこいつらを大事にしてる。


春野に対しては分かる。


だけど、


こいつらにも?