メモを確認した彼は目を見開いて私達を交互に見たかと思うと慌てて放送席へ走って行く。


『皇選手のお題ですが・・・っへ!?マジ!?』


実行委員、私情が入ってるぞ・・・。


どんなお題を引いたんだよこいつは。


カレールーや六法全書に続く変なお題なのか?


にしては私が連れて来られた理由にはならないしな・・・。


こいつの表情からは何も汲み取る事はできないため黙って放送の続きを待つ。


『こほん、失礼しました。お題ですが、





"目が離せない人"





でした〜!!!!』





・・・は?


その言葉に周りは阿鼻叫喚。


中にはぶっ倒れる女子もいる始末。


ざわめきが遠のく感覚に引っ張られそうになるもののなんとか言葉を口にする。


「・・・"目が離せない"って、警戒対象としてでしょ。トップは大変よね、半年もいてほしい情報は得られてないようだし?」





まったく、こんなお題変な解釈を起こす奴らが出てくるんじゃなかろうか。


そんな奴らに私達は契約で成り立っている関係であって、この目が離せないというのも監視する必要があるからだと説明してやりたい。


私がそう言うと皇は小さく息を吐き、紙をポケットへと押し込んだ。


その仕草が妙に乱暴で、───それでも優しかった。