私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

優里もすっかり機嫌が良くなったのか素直に撫でられてくれてるしこっちも気分がいい。


「幼稚園かなここ?」


そんな指摘は無視だ無視。





「あ、短距離出る人呼んでるよー」


「ましろちゃんと奏くん、昴くんが出るんだよね?ど、どうしよう。一緒に走るってなったら誰を応援すれば・・・」


「安心しろ全員被らない」


「本当!?じゃぁ皆の事応援してるね!」


うーん、この子からマイナスイオンが出てる気がしてならない。存在そのものが癒しなことあるか?


華奢な体を一度抱きしめて二人と一緒に移動する。


皐月の事も心配だがここ数日で優里と瑠璃川相手なら当たり障りなく会話できるようになっていたし、今はこっちに集中するかな。


最後の組で走る事になってしまった為、注目される中で恥ずかしい所は見せられないしな。


軽く体を動かしながら前を走る連中を見守る。


藤城も水嶋もきっちり1位でゴールをしている。私も1位を取って戻りたいところだ。


前の組が徐々にゴールを決めているのを確認しながらクラウチングの姿勢を取る。


『短距離走も最後の組となりました!これはどうなるかわかりませんね〜!』


「位置についてー、よーい!」





パンッ、
「どん!」




ピストルの音が鳴り響くと同時に足に思いっきり力を入れ地面を蹴り上げる。