私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

南の奴らから逃げる時もちゃんとついてこれてたし、女子の方では速い方だ。本人曰く色んな経験を得て逃げ足だけは速いとの事。


ただここぞという時に転んでしまったりする事が多くて学年リレーなどには不安があるらしい。


今回はそんな事もなく颯爽とゴールテープを決め私達に気付いたのかこちらに腕を振る優里。


『C組春野さん!驚きの早さでゴール!!!!』


これには放送席も驚きの様子。


「偉すぎる・・・!一眼レフ持って来るんだった!」


「限界オタクすぎる」


黙らっしゃい!


可愛いものを愛でたい。これの何がいけないというのか!





・・・いかんいかん。


気持ちを切り替えて皐月の応援をする。


応援していなかったとなると拗ねてしまうからな。


・・・こいつらも応援してくれている事に嬉しくなったのは内緒だ。


皐月は心配するような点も一つもなく、軽やかにゴールを決める。パンを食べる時間だけ見れば優里も皐月もいい勝負だろう。


競技が終わりこちらに二人が駆け寄って来るのを確認する。


「ましろちゃーん!皆〜!」


「ご主人様!」


「偉いわよ二人共」


二人の頭を撫でながら出迎える。この際だ、スピードを緩めずに突進してきた事は指摘しないでおこう。


満面の笑みを浮かべながら大人しく撫でられている二人を見て吐血しそうになるのをなんとか堪える。


今時の言葉で言うとキュン死にしそう、だ。