「ねぇ、ご主人様」


「?」


「その喋り方、似合わないね」


後ろを歩く皐月が呟く。


分からんでもない。素の喋り方はこっちなのだから。久しぶりに会ったら口調が変わってて受け入れられないのだろう。


「・・・慣れてちょうだい」


私を知る者からすればなんともまぁ滑稽な姿だろうか。


かといってはいそれと変えるわけにはいかないのだ。


淡々と返す私に皐月はそれ以上追求しなかった。





「油っこいものが多い。僕とご主人様の肌が荒れたらどうしてくれるの」


「っ、すいませんでしたねぇ!?」


「文句言わない。この量を一人で作るのは大変なのよ?それにそう言いながら箸止まってないじゃない」


「これは食べ物が勿体ないからだし!」


「素直に美味しいって言えないのかねぇー?」


「調子乗んないでくれる?ねぇ、ご主人様こいつ追い出そうよ。僕一人居ればいいでしょ?ね?」


「駄目よ、それに皐月は私の傍から離れようとしないじゃない。家の事はどうするのよ」


震える皐月に水嶋が更に追い打ちをかける。


「ふーんだ!残念でしたぁ!ましろんと一緒に寝かせてもやんないかんね!・・・朔夜達にしつこく言われたし」


「はぁ!?指摘される筋合いないんだけど!」


「ここは東なんですぅー。なら俺達に従ってもらいますぅー!」


「うっざ!」


「あ"だ!?目がぁっ!?目がぁーッ!!!目潰しは違うでしょうよ〜!」


「騒がしいわね、ノエル」


箸を置いてテーブルを挟み睨み合いを続ける二人を他所に、足元で食事を続けるノエルを一撫でする。


首を傾げたかと思えば興味が無いとでもいうように再び餌にかぶりつくノエル。


それが一番いいな、と私も食事を再開した。