私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

「えっと、そのご主人様っていうのは?二人ってどういう関係なのかは聞いてもいいかな?」


「・・・僕と兄さんは拾われたの。だからご主人様」


「昔にちょっとあってね。この子には情報収集のやり方なんかも教えてたからこうして探し出して会いに来ちゃったみたいなの・・・」


流石に探し出されるまで成長するとは思わなかったけど。


「・・・えっとその、探し出してっていうのは?」


「丁度二年前、かな。何も言わずにご主人様消えちゃったの」


「・・・」


「ご主人様は西を嫌ってるし特に副トップとは仲が悪いから仕方ない事だとは思ってるけどね。けど僕はそんなの嫌だしこうして一人で会いに来たわけ」


さらに力を入れ腕を抱き寄せる皐月。


そう、だな。二年も会えてなかったもんな。悲しげに目を細めるその頭をそっと撫でて前に向き直す。


「この子が旭ヶ丘に来てしまったのは私の責任よ。ごめんなさい」


「・・・橘と言ったか。西にこちらの情報を渡す事などはあるか?」


「ないよ縁を切る覚悟で会いに来たもん。ピアスだって置いてきたし」


「確かに瀬戸沢が着けてた金のピアスはないけどさ・・・」


「そうか。ならこちらから何も言う事はない」


「朔夜!」


「いいわけ・・・?」


「こちらに害がなければ問題ない」


警戒心がないわけではないんだろうがこうもあっさり受け入れられるとは。


皐月もこの様子に拍子抜けしてるようだし。


「ここの連中は随分と甘いんだね」


「・・・ええ、そうね」