僕の目元に当たるひんやりと冷たい手にびっくりしたから。


そのおかげか涙も止まっていた。


「そんな事言わないで?アンタはそんな存在なんかじゃないわ」


綾波さんがそう言うと何故か正しい気持ちになる。だけど、


僕は俯いて何も言えずにいた。


「ねぇ琉生?私が来たのはね、実はそのことで琉生に話があるからなの」


「話・・・?」





「私ね、貴方のお兄ちゃんを住み込みで雇いたいって思ってるの。その条件として学費と貴方の入院費を払うってことで」


「えっと、」


僕は働いたことないから良く分からないけど凄い沢山のお金が必要だよね・・・?


割に合わないってやつなんじゃ・・・。


「それで琉生の体が良くなったら一緒に住みましょ?」


お兄ちゃんと綾波さんと・・・。


その言葉につい頷きそうになるけどなんとかこれだけはと口にする。


「いいの、綾波さんは。その条件で・・・」


その大きな瞳をきょとんとさせたかと思えば、はじめて会った時に見せてくれた柔らかい笑みを浮かべる綾波さん。


「もちろん。水嶋に頷いてもらう為にはこれくらいは必要だと思ってるわ。私、それだけ水嶋が欲しいの」


「・・・」


その言葉に僕も頷く。