私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

「忘れられてたらどうしようって心配してたんだよね。まぁ、ご主人様相手に無駄な心配だろうとも思ってたけどさ」


「っ、」


「ああ髪?大分イメージ変わったでしょ?だってあれから二年も経つんだよ、髪もこれぐらい伸びるよ。どう?似合う?」


毛先に指を絡ませて楽しそうに話す橘さんと困惑顔のましろちゃん。そして未だに置いてけぼりのあたし達、これはどうするのが正解・・・?


それに、それに!


ましろちゃん橘さんの事"皐月"って呼んでた!


それって親しい間柄って事だもんね?


会話の流れ的にも何年も前からの関係みたいだし・・・。


あたし的にはそちらの方が気になるというか・・・。橘さんのご主人様ってワードも気になるし。


あたしなりに頭をフル回転させているとましろちゃんが勢い良く立ち上がり橘さんの手を取る。





「先生、この子この後理事長室に行く必用がありますよね?」


「あ、ああ」


「なら私が連れて行きますのでHRを続けてください」


それだけ言い残してましろちゃんは驚きの速さで橘さんを連れて教室を出て行ってしまう。


「は!」


流れるような動きで一瞬思考が止まったけどあたし達も追いかけないと!


「先生!あたしも行ってきます!」


「春野!?」


「俺も!」


「瑠璃川も!?」


文くんと顔を見合わせてから一度頷いてあたし達も理事長室へと向かう。


きちんとA組とB組に寄って朔夜くん達と合流するのも忘れずに。