私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

1階にある大家さんの部屋で龍二と二人になる。


様子が変わったかーさんが気になって心配で家の近くに居たそう。それで騒ぎがしたから慌てて大家さんを連れて来てくれたのだとか。


龍二でさえ気付いたのに息子の俺は・・・。


その後の事は正直覚えていない。


警察や色んな大人に話を聞かれたと思うけど、その度に呼吸が出来なくて吐いたりして喋れるような状況じゃなかったと思う。


あんな騒ぎを起こしておいて住み続けることは出来なかったし事件以降は親戚の家を転々としてた。


引き取ってくれただけでも感謝しないといけないのにあの事件以降俺は女の人が恐怖の対象でしか見ることが出来なくなって発作が出るようになってしまった。


それが問題になって親戚同士の押し付けが始まった。





それが気まずくて、できるだけ皆の傍にいて家にいる時間を限りなく減らすような生活をしていた頃。


確かそれは小学校の卒業式を控えていた時だったと思う。龍二と朔夜に話があると言われたのは。


「俺、卒業したら朔夜と輝久さんのいるマンションで生活する事にしたんだ。ほら、俺親とは仲良くないしさ」


「文もどうだ?」


朔夜や優里の親たちが俺を引き取ろうとしてくれているのは知ってた。龍二だって、怒られる事は分かりきっていたはずなのに相談してくれたのだって。