私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

気持ち悪い、気持ち悪いッ!


「やめっ──!?」


首筋に生暖かいものが当たって言葉を失う。


「や、やめろよッ!」


何をされたのかが分かると同時におれは上に乗るかーさんを突き飛ばしてた。


家族の前ではいい子にしてなきゃ、ってちゃんとしていたはずの言葉遣いもこの時ばかりは保てなかった。


「はぁ、はぁッ・・・、うぷっ」


込み上げていた吐き気に耐えられずその場で戻してしまう。


「また?」


ドクドクと煩い中かーさんの声が聞こえた瞬間頬に痛みが走る。


「また私のこと突き放すのッ!?」


肩を震わせて葬式の時みたく叫ぶかーさん。


今日は何を間違えてしまったんだろう。必死に考えるけどいつも通り答えは見つからなくて。


皆みたいに賢ければそんな顔をさせずに済んだ・・・?


戸惑うおれに背を向けおぼつかない足取りでおれから距離をとる。


「もういいわ」


勢いのまま窓を開ける姿に困惑する。


「なにして、」


一度も振り返ることもないまま、


おれに向ける言葉なんて残さず、


躊躇なく、


その体は、





「私を愛してくれないなら生きる意味はないもの」





宙を舞った。