「できた人だけど離婚してすぐにお付き合いってどうなのって思ってたのよ。でもさくらさんって話してみるとちゃんとしてる人で」


「そーなのよ。私も一時期さくらさんをそういう目で見ちゃってたけどちゃんと文くんの事も考えてて滅多に見ない聖人みたいな人だなって思ったの」


「だから俺達も二人があの子の事引き取ろうとしてるって聞いた時安心しただろ?あの三人なら普通の家庭を築けるんじゃないかって。・・・からのこれだもんな」


そこまで聞いておれは用意して貰った部屋に戻る。


俺のせいで二人は死んだの・・・?





とーさんの葬儀の日。


棺に入ったとーさんの顔を虚ろな瞳で見つめる母親のもとへ寄る。


「あの、かーさん」


おれの方を向いてくれた事に安堵してその手を握ろうと腕を伸ばす。


触れる直前、


「あんたが産まれてこなきゃあの人が私から離れる事も!あんな女のとこに行って死ぬことも無かったのよッ!!!!」


抑えていたものがついに爆発してしまったのかヒステリックに叫ぶ母親。





声も出せずにいるおれをゆうりのかーさんが抱き締めて母親から距離を取る。


母親はというと親戚やさくやの両親に止められていた。


(また間違えた)


泣くこともせず温かい腕の中で他人事のようにその様子を見ていた。