私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

「あーあ、汚れちゃった」


もうこのお面使えないや。


「お、お前・・・」


もう起きたのか、案外しぶといな。だが丁度いい。


先程聞いた声に振り返るまでもなくお面とナイフを投げ捨てる。


「それとコレ、片しておいて。それでさっさと東から出て行って二度と顔を見せるな」


呆気に取られる男には目もくれず横を通り過ぎる。


曲がり角を過ぎようとしたところで男に呼び止められ嫌々ながらも進めていた足を止める。


「お前何モンだよ」


この状況をみて問うなんて馬鹿なのかあるいは・・・。


「お前、赤の人間だろ。トップの下についたのは最近か?」


「・・・ああ」


「なら一ついい事を教えておいてやるよ」


唇に人差し指を当て振り返る。


「触らぬ神に祟りなし、ってな」


息を飲んで固まる男を後にして先程の路地まで戻る。








「気絶してるだけか」


絡まれていた男の様子を見に来たが特に外傷もなくこのまま放置して構わないだろう。


路地裏を抜けそろそろ皆と合流しようと思いスマホを取り出す。


「ちょっとあなた」


「・・・」


なんなんだ今日は。次から次へと厄介事が舞い込んで来る。


やはり8月15日という日に私はとことん縁が無いようだ。