私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

からん、


「きーら、きーら、ひーかーる...」
自ら行き止まりへと向かう男を追いかける。


運が無いなこの男は。







からン、


「よーぞーらァーの、ほーしーよぉ...」
ゴミ箱や室外機に当たりながら男は必死に逃げる。


よりにもよってこんな日に私と会うのだから。







かラン、


「まぁーばーたーきィ、しーてーはぁ...」
「く、来るなァッ!」


私の機嫌が悪いばっかりに。







カラン、


「みーンーなーをォ、みぃーてール...」
そんなに叫んだって誰も気付きやしないのに。


『──────サヨナラ、よ』








カラン、


「キーラー、きぃーラ、ひーかール...」
この先は行き止まりだと気付いたであろう男は絶望へその顔を変える。


離れたその指を追いかけ空を掴む。







カラン。


「オーソーラーノー、ホーシーヨ」
「や、やめッ───」


ざしゅッ、そんな形容し難い音を立てて先程まで動いていたその体はぴたりとも動かなくなってしまう。