まさかここにも赤字要素となる人物がいるとはな。


後に回るヨーヨー吊りでは藤城が(子供組が欲しがるためそれぞれ五個ずつ)、射的では皇がその腕の良さを見せ一種の荒らしと化すのはもう少し先。


店主側は優里以外にもこの集団には気をつける必要があったのだ。





「お面売ってる!」


見守りながら食べていた物が消え、興味は横の店へ。どうせ皇か藤城のどちらかは見てるんだろうしこれくらいの移動は許容範囲だろう。


優里の後に続いてお面屋を覗き込む。


出店で売られているようなプラスチック製のキャラクター物から、般若や能面などの日本のお面と言われれば馴染み深い昔ながらの製法で作られた物まで置いてあるようだ。


般若や能面って・・・。お祭りにそのセンスはどうなんだ?


いや、これも趣向が凝ってると言えるのだろうか。


確かに日本人ではなく観光客などには受けそう。


「はいちょうどねー」


優里はドラ〇ちゃんをお買い上げのようだ。


店主からお面を貰うと被って見せる。


「どうー?」


「可愛いわよ」


「えへへー」


「お嬢ちゃんも一つどうだい!」


店主はおもむろに一つのお面を取りこちらに差し出す。