私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

なんだかんだ言って皐月も楽しそうだな。


日が暮れ始め、オレンジ色に染まる廊下を他愛のない話を交えながら進む。


雲行きが怪しいが後夜祭が終わるまでは持ってほしいものだな・・・。


(杞憂に終わればいいけど)


それは天候についてなのかはたまた別の問題なのか。自分自身でさえよく分からなかった。


皆の後方で白い端末を操作しながら呑気に連絡を待っていた時の事だ。





「綾波さんちょっといい?」





後ろから聞こえてきた声に一斉に振り返る。


「鈴原さん・・・」


相手の名前を呼んだのは私ではなく優里。


廊下にはまだ校内から出れてない一般客や片付けなどで出入りする生徒で溢れている。


しかしこうして生徒同士が向かい合うだけのこの場に妙な緊張感が走るのを感じ取れている人間はどれ程いるのだろうか。


「私に何か用?」


「クラスの片付けなんだけど人手が足りなくて。委員長に聞いたら綾波さんなら手が空いてるんじゃないかって言ってたから探してたの。綾波さんお借りしてもいい?」


さて、どうするか。


スマホには待ち望んでいるものはまだ来ていない訳だし。