私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

貴方が彼女に向ける視線はいつだって愛おしそうなのだから。


「年明けから話が出ていた婚約者の件、最近聞きませんが何かありました?」


この場で聞く事ではないのは百も承知だが聞かずにはいられない。


私の考えが確かであれば、


「断った。好きなやつがいるからって言ったら案外簡単に納得してくれた」


「おやおや」


そこまで動いていたとは・・・。


いや、朔夜は誠実な男ですからね。納得と言えば納得です。


自分の事になると無頓着な彼女はきっとこの男の手により知らず知らずのうちに囲われてしまうんでしょうね。


『みんな、特に朔夜くんに似た何かを感じたの』


「ふ、」


優里さんの言葉に納得してしまい思わず笑みが零れてしまう。


ましろさんのような人間を人誑しと言うんでしょうが、それにおいてはこの男も負けてませんからね。


なにせ曲者ぞろいの我々をまとめ上げる程の器の持ち主ですから。


おお、怖い怖い。


ただの駄犬に過ぎない私は黙って仕事をすることに専念しましょうか。