私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

誰もが知る原作の通り騙された白雪姫は毒林檎を喰らい倒れてしまう。息の一つもしない白雪姫に小人達は三日三晩泣いたあと埋めようとも考えたが、生きていた頃と変わらない美しい姿の白雪姫にそんな事は出来なかった。


悩んだ末に小人達は硝子の棺を作りその中に眠らせた。





とある日、森に迷い込んだ一人の王子が小人の守る硝子の棺が目に入り近寄る。


(朔夜だ。相変わらずかっこいいなぁ)


『どうかこの棺を譲ってはくれませんか。その代わりに望むものを全て差し上げよう』


壊れることを恐れているかのように優しく棺に触れる王子様。


凄いな・・・。あの二人、まるで芸術品みたいだ。


『こればかりは差し上げられません。白雪姫の代わりになるものなど何一つ無いのです』


『それもそうですね。ですがどうか、お願いします。私はもう彼女を見ずに生きていられない。私の生きている間は、白雪姫を敬い、粗末にしない事を誓うから』


どこまでも真っ直ぐな王子の眼差しと言葉に小人達は動かされ、白雪姫を任せることに決めた。


『彼らだけにではない。貴女にも、誓おう』


小人達が去って二人だけになった空間。朔夜は綾波の傍に寄り見つめる。


あ、あれ。そういえばそろそろ問題のキスシーンだよな?


恥ずかしさで堪らず舞台上から目を逸らしてしまう。


いや、でもよくよく考えたら必ずしも原作に忠実でなきゃいけないルールなんてないし、演出を変えたりして避けるだろう。


だから安心して見れるはず!





覚悟を決めて向き直る俺の視界に広がったのは、








綾波の頬に手を添えて"キスをする"、朔夜の姿だった。