私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

side,文


『鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?』


朔夜達のクラスの劇を、用意してくれた一番前の席で観る。


「心配はしてなかったけどさー、昴めちゃくちゃ馴染んでんね」


「昴は何でもそつなくこなすからなぁ。流石に声は他の子が担当してるみたいだが」


「あの鏡の顔とかどうやってるんだろうな!」


「プロジェクターか、鏡に見せかけて映像を流してるかとかだと思うけど違和感ないのは凄いね」


おぉ!そういうことか!


橘の説明に納得していれば昴が立っていた場所の照明が消えて、反対側の場所に上から照明が当てられる。


導かれるように目を向ければ、森が描かれた背景に鹿や小鳥、兎なんかの影が現れた。


小道具なんかではなく、プロジェクターを使用した演出だからか動きも自然で世界観に入りやすい、と思う。あんまり上手く説明できないけど・・・。





『世界で一番美しい者、それは・・・白雪姫です』


『白雪姫?』


「あっ!そろそろましろちゃんが出るんじゃない!?」


嬉しそうにはしゃぐ優里に続いて舞台上をよく見れば、草に見立てた置物に隠れるように横たわっている人物がうっすらと見える。


昴の台詞の後に、人物はゆっくりと起き上がって伸びをする。