私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

「ふふ、こちらです。引き受けてくださりありがとうございます」


「笑うんじゃないわよ。・・・看病してもらった恩はこれでチャラよ」


「はい、もちろんですよ」


終始笑顔の藤城に連れてこられた舞台袖。


パーテーションや姿見がいくつか置かれており、簡易的な更衣室として機能しているだろうスペースまで案内されると同時にその場にいた女子生徒と会話し始めた藤城。


かと思えばあっさりと去って行ってしまった。


会話を聞くに藤城もそろそろ着替えなければいけない時間なのだとか。


継母の登場シーンから始まるもんなこの話って。





「綾波さんが引き受けてくれるって本当だったのね。私衣装係担当してるの、今回はよろしくね」


いけない、今は別の事に思考を割いている場合ではない。


「よろしく」


「早速で悪いけどこの衣装に着替えてくれる?全体を見て直しを入れるから」


慌ただしく彼女が持ってきたのは白雪姫の衣装を纏ったトルソー。


「・・・綺麗ね」


その衣装を見て堪らず言葉が溢れてしまった。


幼い設定に合わせてか華美な装飾や露出は少ないものの、その分シルエットが整えられていて作り手の拘りが見て取れる作品だ。


「・・・ありがとう。一から作ったから褒められると嬉しいわ」