私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

1階の休憩所を利用していたからか目的地へは5分もせずに着いた。


体育館に足を踏み入れると同時に壇上のセットが目に入り皇達のクラスの劇のクオリティが高いものだと分かる。


体育館に来てくれって言われたから来たものの、入ってしまって良かったんだろうか。


「皆さん」


「おーすば、・・・る?昴で合ってるよね?」


「合ってます。必要以上に触れないでください」


藤城の声が聞こえた先に振り返るもそこには長身の美女がおり思わず固まってしまう。


いつもの眼鏡はなく切れ長の黒い瞳がよく見え、男性だと分かる髪も今はウイッグでシニヨンヘアにされておりどこからどう見ても女性にしか見えない。


触れてほしくないだろうから口にはしないが冠が浮かない人間がいるんだなと関心してしまう。喉仏を隠して喋らなければ隠し通せてしまう程の出来だ。


着替えはこれからなのか今はジャージ姿なので早く衣装を着て欲しい、だなんて要望も口にはしないでおく。


「なんで呼ばれたか聞いていいかしら」


「はい、リハーサル中にですね白雪姫役の生徒が怪我をしてしまって主演がいない状態になってしまったんです」


「それは大変じゃないか」