私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

「あと一時間ぐらいしたら向かおうか」


谷垣の提案を呑み今日のうちに回るべき出し物について再度話し合う皆の傍ら、机の下で白い端末を操作しメールボックスを確認するも目的のものは未だに送られてきていない。


(今回は動かないのか・・・?)


いや、結論づけるにはまだ早いだろう。


一般公開も行われる文化祭程忍び込むのに最適なタイミングはないはずだ。


取り越し苦労で終わってくれるのであればそれに越したことはないのだからあいつには申し訳ないが、もう少しばかり動いてもらおう。


「綾波もこれでいいか?」


「いいわよ」


気づかれないよう端末をブレザーのポケットにしまい、私にもよく見えるように向けられた文化祭のパンフレットに目を通した。





それから数分だろうか。


電話を知らせる通知音が鳴ったのは。


音の先はどうやら私のブレザーのポケットからのようで、先程とは反対のポケットのためすぐにプライベート用の黒い端末なのだと理解する。


薺さんと優里以外からは滅多に連絡がないスマホ。薺さんは仕事中だろうしましてや電話を寄越す相手なんてまったく思いつかない訳だが・・・。


「皇から?」


LIMEの通話機能で掛けてきた相手の名前を確認するも更に謎が深まるばかりだ。