私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

「・・・お願い」


「任せてよ」


好きな子の前ではかっこつけたい。


そんな不純な動機も少なからずあるけど何よりも嫌がってるこの場所から一刻も早く連れ出してあげたくて、ましろんの足元に注意しながら進む。


確かあの仕掛けはもう一箇所だけのはず。


「・・・目、開けていいよ」


嫌がりながらも声を抑えていたのを見るとあまり人には知られたくないんだろうし、出口からは見えないここで声を掛ける。


「ありが、と」


「どーいたしまして」


「───と、」


「ん?」


「・・・この事、秘密にしておいて」


(声ちっさ・・・)


「うんうん、分かってるよー」


秘密、ね。


たったこれだけで嬉しくて、どうしようもなく頬が緩みそうになる。


「ましろちゃん!うわぁ〜ん!」


「優里だわ」


「ありゃ、やっぱ泣いちゃったか。行ってあげて?」


「ええ」


ゆうちゃんの声であっさりと離された腕だけど、寂しさよりも先程のやり取りの嬉しさが勝った。


光の先へと進む彼女の影を見つめながら思う。





『あいつは、"人を騙して誑し込むのが上手いよ"?』


───────それでも俺は、好きな子を信じたいよ。