私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

ん?白雪姫の王子役といえば・・・。





「キスシーンあるんじゃないの?」





皐月の落とした言葉がこの空間に響く。


次にうんざりとした表情を浮かべたのは皇だ。


「えぇ!?朔夜キスシーンどうすんの!?」


「ひ、人前でそういうのはどうかと思うぞっ!!!」


「・・・これ以上聞くな」


珍しく不貞腐れた様子の皇。それも普段との違いなんて微々たるものなんだが。


・・・どおりで触れて欲しくなかったわけだ。


こいつには振り回されることの方が多かったからな、少し清々しい気分さえ感じる。


「その代わり公演は一回のみなんです。体育館は一日目しか使えませんしね」


これ以上は可哀そうだと皆が感じたのか気になりながらも別の話題へと変わっていく。





正直、皇を揶揄ってやろうとも思ったがそれは止めた。


そんな事でこいつが動揺するとも思えないし、それよりも自分の中に抱いた違和感に思考が引っ張られていたというのもある。


私は何故、


キスシーンと聞いたときに清々しい気分と共に、


ほんのわずかに、そのシーンを見たくないと感じたんだろうか。





考えても結論は出ないため、甘い卵焼きに箸を伸ばし忘れることにした。