私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

西と自分自身に対する嫌悪が消えないのはこれが大きい。


この事件のせいで朔夜は家を継ぐことになったわけだし、もし輝久さんが目覚めて現状を知ったらどうなるか・・・。


「優里までもがあんなに嫌う理由は分かったわ。だけど、谷垣の犯した罪っていうのは違うんじゃないの」


「違わないよ、判断は全部人任せにしてきたからあんな事が起きた。朔夜達を止めなければ輝久さんや皆がああなることもなかったかもしれないのに・・・」


結局は自分勝手な気持ちが勝ってあんな事件にまでなったんだ。


「たらればの話をした所で無意味よ。後悔したことの無い人間なんて居ないんだから。赤子でさえやらかす事で学習するっていうのに」


ましろは夜景に視線を落としながら何かを思い出すように言葉を紡ぐ。


「信頼できる者の言葉を信じる、守りたい物を優先する、全部人として当たり前の事よ」


「それでも、あの時ちゃんと自分の意思を持ってたら・・・」


「上の人間の言葉だもの。私だっていまだに家の人間の言いなりだし」


「ましろが・・・?」





正直意外だ。


ましろはいつも堂々としていてきっぱりと物を言う子だから。俺はそれを羨ましいと思っていたし。