私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

要点だけを伝え一方的に切られた電話に不満はあるものの、俺達は第二音楽室から飛び出す。


「村田も着いたみたいだ」


校門前に止められた車に乗り込めば既に情報は共有されていたのだろう、扉が閉まると同時に走り出した。





指定された場所にたどり着けば、至る所に飛び散る血が抗争があった事を物語っていた。


現場に群がる人集りのうちの誰かが叫ぶ。


「あ、迎え来たみたいですぜ!」


人集りは割れて、その中からフードを深く被った男が現れる。


僅かにミルクティー色の髪を覗かせた男は気だるそうに襟元を掴み引きずっていた"それ"を境界線の上へと投げ捨てた。


全身血だらけで、足なんてあらぬ方向に折れ曲がった輝久さんの姿が目の前に映る。


「酷い・・・っ」


しまった、優里ちゃんだけでも車に置いてくるべきだった。


冷静になろうとも、全員が怒りで今にも殴り込もうとしていた。だけど、そうなっては輝久さんが残った事が無意味になってしまう。


言い聞かせる事によってなんとか持ち堪える。


「わざわざ返してやる必要ありますー?こいつが選んだ事でしょ」


「黙って。これ、誰の指示だと思ってるの」


「っ、だけど!こいつらを帰してやる義理は無いじゃないですかっ!」


「はぁ、やるなら勝手にして」