私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

まぁ、この中で一番落ち着いてて大人びてるのは輝久さんだと思うけど。


この人とも付き合いは長いけど昔からずっと変わらず、冷静で頼れる皆のお兄さんって感じだ。


2歳しか違わないのに、こんなに差が出るものなんだろうか。


輝久さんといい朔夜といい不思議だ。やっぱり極道の家となると経験していることもまったく異なるということなんだろうか・・・。


俺も、輝久さんみたいになればぐだぐだと悩まずに済むのかな。


「昴はね、必死なだけだよ。目で追ってると分かってくる。・・・朔夜はね、今は無欲なんだよ。だから何か刺激があれば人生までも変えてしまう、そんな生き方をすると思うよ」


輝久さんの言葉を理解しようとするけど、混乱するばかりだ。


「ははは、難しいこと言ったかな?今はそんなに気にしないでいいよ。今はそれより龍二の話だもんね」


「俺・・・?」


「そうそう。龍二はさぁ、諦めた人の落ち着き方なんだよ。希望を求めてるけど、探しに行くのは諦めた、そんな人のね」


希望を求めてるけど、探しに行くのは諦めた・・、





もう少しで何か掴めそうな気がするんだけど、あとちょっとが足りない。そんな俺を見かねて輝久さんは頭に手を置いていつものように、ううん。いつも以上に優しい笑みを浮かべてくれた。