私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

「はー、」


流石に食べ過ぎたな。


今はというとレストランのある階、エレベーターを降りてすぐにあるラウンジにて休憩中だ。


そんなに料理を口にした覚えはないが、デザートを取りすぎたな・・・。これもこのホテルの食べ物が美味しいのがいけない。


パーティー会場で食べたマカロンだって頬が落っこちるような美味しさだったのに、それが食べ放題となればついつい口にしてしまうというもの。


皆はまだ食べるようで断りを入れて先に席を外させてもらったというわけだ。





「ましろ、お腹の具合はよくなったか?」


「お腹いっぱいでまだ動けないわ。でも美味しい物を沢山食べれて満足よ。ありがとうね、連れて来てくれて」


「感謝するのはこちらの方だよ」


「あらなんのこと?した事と言えばピアノ弾いたぐらいよ」


対面の席で座ってもいい?と聞く谷垣に頷き窓の外を眺める。


「君はそう言うけど助けられたのは事実だよ」


「・・・時間稼ぎにしかならないじゃない」


「はは、残りはやっぱり俺自身がどうにかしなきゃいけない話なんだよ。その準備ができる、それだけでも大助かりさ」


「婚約者はどうするのよ」


「彼女ともよく話してみるよ。知りもしないで一線を引くのは好きじゃないんだ。今日はいきなりで戸惑ったけど、その期間ができた事にも感謝だね」