私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

その後は会長が気を利かせてくれて、一足先に私達は会場を後にした。


大切なお客様だからとこの場で私に話しかける事にも釘をさしてくれたのだから流石だ。








「それにしても凄い変わりようじゃないー?」


「ほんとほんと!」


「龍二には悪いけど、あんな大人にはなりたくねぇな!」


パーティー会場を後にし、もともとホテルに泊まる予定だったため各自の部屋で休憩を兼ねつつ着替えた私達は夕飯を済ませるべくレストランのある階へと来ていた。


バイキング形式だったため各々好きな物を皿に盛り付け食事を取り始めて数分。お腹が空いて苛立っていたのか、次々と会場の様子に不満が零れる。


「あの方達が慌てる様子など初めて見ましたよ」


「はは、俺も初めて見るよ」


「ましろちゃんのお家って実は凄いところなの・・・?」


「さぁね。色んな所に土地貸してるし何かしらの縁はあったんじゃない?」


「それだけでああなりますかね?」


たく、勘のいいガキは嫌いだよ。


あの家の事なんざ極力思い出したくないんだ。問題が解決したんだから今はこの時間に浸らせてくれ。


あの場で嫌という程にこの体に流れる血について実感させられたんだからな。