私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

ため息をつく会長にご両親達はぐうの音も出ないようだ。


良かった・・・。谷垣にも薺さんやヒメ達のような大切にしてくれる大人が周りには居たんだな。


私の出る幕はもう無いと傍観していれば、今も尚納得のいかないご両親達に再度呆れてか会長が私の方を向く。


「目先の利益にばかりとらわれるから大事な縁を逃すんだよ。・・・すまないねぇ、そこの素敵なお嬢さん。ちょいとこちらに来てくれるかい?」


こんな大衆の面前で手招きとは・・・。


先程の演奏以上に注目を集めているじゃないかっ!


行きたくないと駄々をこねる自分がいる半面、谷垣のお婆さんからのお願いだからと恐る恐る足を前に進める。


ご挨拶を、というのもこの場面では変な話だ。会長の前でスカートの端を持ち上げ頭を下げる。


頭を上げればにこやかな笑顔を浮かべ私の顔をまじまじと見始める。


すみません、公開処刑ですか。


「うんうん、貴女を見てると昔のあの子を思い出すわぁ」


あの子・・・?


もしかしてこの人・・・、


「ねぇ、一つ聞いていいかしら?」


「・・・はい、なんでしょうか」


「その綺麗な容姿に、赤い瞳・・・」


ああ、この人知ってるんだ。








「"あの"、綾波さんとこのお孫さんよね?」








"あの"家について───────────。