私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

「嘘、お義母さんが・・・!?」


青ざめるご両親を他所に、司会の言葉を合図に我々が入ってきた扉が開かれる。


そこには着物を着た一人のお婆さんの姿。


周りの大人達は姿を見るや頭を下げ、我々もそれに続く。


「よいよい、頭をお上げ。龍二の誕生日だというのに祖母の私を呼ばないとは・・・。私は除け者だというの?ねぇ、龍二」


「おばあちゃん・・・」


「辛い思いをさせたね。ここは私に任せなさい」


これが会長の威厳というやつなんだろうか。


登場から僅か数分でこの場の誰よりも存在感を放つ。


話を聞く感じ、強引に話を進めていたのか・・・。


つくづく救いようのない親だな。


「私に黙って進めていた話だよ。お相手だってこう言っているしこの話は保留だよ」


「母さんっ!この話は谷垣グループの拡大に繋がる大きなものでっ!」


「馬鹿言うんじゃない。実の子供使ってまで頼んだ覚えはないよ。小さい頃から欲の強い子だったけど、息子だからと甘やかしたのがいけなかったね」