谷垣の両親であろう二人は断りを入れこちらに近付いてくる。


ふむ、谷垣は父親似なんだな。お辞儀をしながら呑気にそんな事を考えていた。


「今日の主役が来たか」


「久しぶりねぇ、龍二」


「うん、久しぶり」


「朔夜くんも昴くんも、・・・そして皆もよく来てくれたね。おや、君は初めて見る顔だね?」


「はじめまして、谷垣さんとは学友でして。このような素敵な場に呼んでいたただけてとても光栄です」


知り合いの親を悪く言いたくはないが、先程の皆に対する挨拶といいこれは値踏みされていると見て間違いないよな?


仲は良くないと聞いていたがこういった点が関係しているのか。


確か不動産や株に力を入れ、事業を拡大していると谷垣から聞いたな。そして金になるような繋がりに妙にうるさいのだそう。


まとめると損得勘定でしか物事を考えられない人間というわけだ。


そもそも久しぶりに会う子供に対して、誕生日を祝う言葉がでていない時点でお察しだ。


「君の家は何をしているのかね?」


「父さん!」


隠す素振りすらしない、か。


「はは、代々地主の家系というだけです。ただ、父親が何個か会社を経営しており私もこのような場に参加することが増えるかもしれないのです。そんな私に谷垣さんは気を使って今回声を掛けてくれたんです」