そんなこんなで、谷垣の誕生日当日を迎える。


皇の家で合流し、谷垣の家の車に乗せられ連れて来られたのは予約も五年以上待つ必要があると言われている帝国ホテルだった。


そんなホテルの前で下ろされ、お手伝いさんが待機している部屋に各々入れられ今に至るわけだ。


「髪型にご希望はございますか」


「いいえ、浮いたりしないのであればこのままで」


「承知しました」


髪もそうだがリボンには触れて欲しくないからな。


私の返答に顔色一つ変えずに受け答えするお手伝いさん。どうやらドレスは選び終わったようで化粧台の前へ案内される。


「失礼しますね」


メイクアップ用のケープをつけられ、流れるような仕草で前髪を止められる。


化粧もされる感じかこれ。


あの顔に何かを塗りたくった感覚が好きではないのだが今日はそんな事言ってる場合じゃないからな。


目を瞑り仕上がりを待つことにする。





「まぁまぁ!よくお似合いです!・・・はぁ、食べちゃいたいくらい。はっ、いけない」


化粧を終え、用意して貰ったドレスに着替えるとこれでもかと褒めてくれるが長くて聞き取れないしここでは割愛する。


詠唱か何かですかお姉さん。


「皆さんロビーにお集まりのようですのでお気をつけて行ってらっしゃいませ」