圭太さんが寝て、私たちはリビングで勉強を始めた。

「凛音、私、何もできなかった。」

「そんなの、私もだよ。」

私だって、何もできなくて悔しかった。

「大好きなのに、大切なのに、他の人に頼ることしかできなかった。」

私は何も言えなかった。柚月を励ます言葉が見つからなかった。

「私、絶対看護師になる。凛音、ついてきてくれる?」

「もちろん、一緒に頑張ろう。」

柚月は笑って、転校してくる前のことを全て、話してくれた。

「辛かったけど、今は恵まれているよ。凛音、ありがとう。」

「うん。」

私はそれ以外、言える言葉が見つからなかった。

私たちは肩を並べて勉強した。

柚月に教えてもらいながらだったけど、しっかり勉強した。

私は、もう看護師になる決意が、固く、できていた。