素顔に花と光を

それからも、沙里への陰口は止まらなかった。

むしろ、少しずつ悪化しているように感じた。

教室は、いつも通り明るい。

笑い声が響いて、先生の冗談にみんなが笑っている。

でも、廊下の雰囲気は最悪だった。

きっと、先生の目が届かないからだろう。

沙里が廊下を歩けば、学年の子たちが次々と噂する。

「てか、SNSフォローしてたんだけど」

「まあ、SNSでは気取ってるもんね〜」

席に座ってスマホを開く。

前までは、すぐにSNSを開いていた。

でも最近は、何も見ずに時計だけをチェックするだけだった。

投稿は、何日もしていない。

通知が来ているのは知っている。

でも、見る元気がなかった。

——見られるのが、もう怖い。


吹雪は、そんな沙里の変化に気づき始めていた。

いつもなら、昼休みに微笑みながらスマホをいじって、こっそり投稿していた。

でも最近は、暗い顔で、窓の外をぼんやり眺めてばかりいる。 そして、投稿も止まっていた。

放課後、吹雪は沙里に近づいた。

「最近、投稿してないね」

そういえば、この前も同じことを言った気がする。

何度もしつこく聞きすぎたかもしれない。

沙里は、この前と同じ返事をした。

「……まあ、ちょっと最近忙しくて」

その声は、蚊の鳴くように小さかった。

——やっぱり、何か抱えてる。

前から感づいていたけれど、最近は自分のことに必死で、ちゃんと見ていなかった。

その夜、吹雪はスマホを開いて、沙里のアカウントを見た。

最後の投稿は、もう一週間前。 コメントは何件も来ていたけれど、沙里は何も返していない。

その中には、心配する声もあった。

「最近止まってるけど、大丈夫?」

「投稿してないけど……なんかあったらつぶやいてね!味方だから!」

励ましのコメントが、いくつも並んでいた。

吹雪は、スマホをそっと伏せた。