素顔に花と光を

なんで私はできないんだろう。

学年には、すごくおしゃれで、頭もよくて、オールマイティーな人がたくさんいる。

さっきリップを拾ってくれた子も、そう。

同じ制服を着て、同じ教室で過ごして、同じ授業を受けて、生まれた年も同じなのに——

どうして、私は“地味”って思われて、あの子は“かわいい”って言われるんだろう。

あそこに座ってる子は、 「今日時間あったから巻いてみた〜」って、笑いながら髪をふわっと揺らしていた。

普段はストレートなのに、今日はゆるく巻いていて、 朝、思わず「巻いてる…かわいい…」って声に出してしまったほどだった。

私は、低くひとつに結んだだけ。

鏡も見ずに、ただまとめただけ。

SNSの中の私は、違う。

髪も巻いてるし、アクセサリーもつけてる。

リップも、チークも、ネイルも、全部こだわってる。

「かわいい」「参考にしてます」って言われる。

なのに、学校ではなぜかできない。

たぶん—— 「え、お前地味だったのに急にどうした」って思われるのが怖い。

「キャラ変した?」とか、「高校デビューウケる」とか言われる未来しか見えなくて。

そんなプライドが、邪魔をする。

“似合ってない”って言われるのが怖い。

“背伸びしてる”って笑われるのが怖い。

“キャラ変した?”って、冷やかされるのが怖い。

だから、何も変えない。

だから、何も言わない。

本当は、変わりたいのに。

本当は、私だって——“かわいい”って言われたい。

もう、隠すのに疲れたな。

誰にもバレたくないっていう、しょうもない自分のプライド。

「似合ってない」とか「ダサい」とか言われないように、必死に地味なふりをしてきた。

本当は好きなものを、自信を持って言えないまま、ずっとずっと過ごしてきた。

昔からの自分を知らないSNSの世界では、 自信も持てるし、「かわいい」って言ってもらえる。

画面の中の私は、ちゃんと“本当の私”なのに。

なのに、学校では出せない。

そんな自分が、嫌だった。

結局、私は承認欲求の塊なんだと思う。

誰かに見られるのが怖くて、ずっと隠してきたはずなのに—— 見つけてもらえないのも、なぜか悲しい。

本当の自分を出せる性格だったら、何か変わってたのかな。

もっと、違うキラキラした理想の高校生活があったのかな。

ふと、思った。

——本当の自分を、出したい。

その瞬間、胸の奥が少しだけ熱くなった。

でも、それはすぐに冷めていく。

「無理だよ」って、心の中で言う。

「どうせ笑われる」って、過去の記憶が囁く。

それでも、ほんの少しだけ—— 出してみたいって思った。

誰かに「似合ってる」って言われたい。

誰かに「かわいい」って言われたい。

そんなの、甘えだと思うし、自分勝手だと思う。

でも、誰にも見つけてもらえないまま、 このまま隠れて生きていくのは、やだな。