私は‪✕‬‪✕‬を知らない I

水嶋と一緒に席に戻れば大方の話はまとまったようで頼んでいた料理と共に私達を待っていた。


「ましろちゃん甘いもの好きなんだね。よく飴を舐めてたりするし」


小さなサラダとチョコバナナパフェを前にすれば横に居る優里が頬張りながら聞いてくる。


私の注文したものと打って変わって優里の前にはハンバーグ、ピザ、パスタ、グラタンと置かれていてその小さな体のどこに消えて行くのか不思議で仕方ない。


「まぁ、特にチョコは好きかしら」


『幸せに味があるとしたら、こんな味だと思うの』


受け売りではないがその言葉が頭をよぎった。


「余裕があるならこっちも食べた方がいい」


皇がポテトと唐揚げの盛り合わせを中央に寄せる。


「・・・ありがと」


一緒に食べる機会が増えて私の胃袋の大きさはある程度知られているらしい。もう少し食べるよう言われることはあるものの、強要はされない。





その後は前回のテストはどうだっただの、今回の夏休みはどこに行こうだのそんな話題で盛り上がるこいつらに相槌をしながらパフェを口にする。


久しぶりに食べたがやっぱり美味しいな。


甘いなぁ。


ナニガ?


パフェが?


皆が?


それとも、


ジブンが?


甘くて、アマくて、







────────────反吐が出そうだ。